落語の下積み期間
噺家のいろはを学び、吸収するのがこの前座修行。どんなに偉い師匠でも必ず最初はこの前座という身分から落語家人生が始まります。見習い期間を経て寄席の楽屋で働くようになると、師匠の着物を畳み、着物の着付けを手伝い、高座の座布団を返したり、楽屋のお茶をひっくり返したりします。一年休みなく働きます。加えてお茶の熱い冷たいや、濃い薄いは師匠によって一人ひとり違いますので頭に暗記します。頭がよくないと務まりません。もっとも、利口な人は噺家にはなりませんね・・・(笑)そして寄席の出囃子の太鼓も前座が叩きます。太鼓が叩けない前座は楽屋の師匠に叩かれます。世知辛いです。
新進気鋭!若手落語家の代名詞
前座修行が終わり、晴れて二ツ目に昇進すると、寄席や師匠の雑用から解放され、一人前の芸人として認められたことになります。また、前座の期間は着物のみの着用(着流し)しか許されておりませんが二ツ目からは紋付の羽織、袴の着用が許されます。一見すると自由な二つ目生活ですが、毎日寄席に行かない分、舞台に上がる機会が激減します。『時間がありあまるほどあるのにお金がないよ...。』これがあの有名な二つ目地獄です。どのような時間を過ごすかによって、その後の活動に大きく影響していきます。自身の独演会や披露宴の司会、余興といった様々な経験を経て芸の幅を広げる期間であります。
寄席の主役
前座二つ目を経て、ようやく最高位の『真打』です。落語界では相撲界と違い『降格』はありません。個人によって差はありますが約14~15年の年月を経て真打に昇進し、以降は真打の落語家として活動します。真打になると大きく変わるのが二つ。一つは弟子を取ることができます。もう一つは寄席でトリ(主任)を取ることができます。寄席興行の主役です。トリの師匠を引き立たせるために、落語、漫才、曲芸と様々な番組をもって盛り立てます。会場のボルテージが最高潮に高まった中で、舞台に上がることができます。その代わり、トリの師匠によって動員数も変わるので実はとってもシビアなのが真打です。